コンテンツへスキップ

筑波大女性殺害事件とフランス司法

2026年3月31日

弁護士 明賀英樹

筑波大学からフランスへ留学していた女性が行方不明になり、チリ人が殺害したとして起訴された事件で、3月26日フランスの控訴院は終身刑の判決を言い渡した。

この事件は2022・23年の一審・二審判決とも禁錮28年(求刑終身刑)としたが、破棄院(最高裁)が25年に公判手続きのミスがあったとして審理のやり直しを命じたものだ。

リヨンの控訴院は求刑が禁錮30年のところを、裁判官と陪審員の合議で判決では終身刑とした。チリ人被告人は上告する方針だとのことだ。

フランスの刑事裁判についてはあまり知られていないので、以下簡単に解説する。

フランスの刑事裁判

国民が司法の刑事裁判に参加する形態としては、大きく分けて2つある。

一つは陪審制で英米法系で採用されており、裁判官は訴訟指揮のみを行い有罪無罪を陪審員だけで判断する。

有罪の場合、裁判官が調査をもとに量刑を決める。

もう一つは参審制で大陸法系で採用されており、裁判官と参審員との合議で有罪無罪や量刑を決める。

参審員は任期が決められており、その間何度も裁判を担当することが多い。

日本の裁判員制度は、裁判官と裁判員が合議で決める点では参審制と同じであり、裁判員が一事件のみ無差別抽出で選出されて審理する点では陪審制と同じである。

フランスの刑事裁判も日本の裁判員制度と近く、重罪事件(重罪院で審理、軽罪でも一部陪審制はあるが省略)では一審で裁判員3名と無作為抽出の陪審員6名で合議し、有罪にするには6票以上が必要で、量刑は過半数で決めることになっている。

また、重罪事件の判決に対する控訴を扱う控訴院では、陪審員を9名選出して審理判断することになっている。

裁判官と陪審員の合議で決めることなど参審制に近いところもあるが、フランスでは陪審員(ジュリー)という呼び方をしている。

今回のチリ人被告人の審理を行ったリヨン控訴院も、裁判官と陪審員の合議で判決を行ったものだ。

動画による解説はこちら